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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 14 Jul 2004 01:24:17

【マリ=ポール・ベルの初来日】
街で見かけたシャンソン・リサイタルのポスターに目が留まった。
MARIE−PAULE・BELLE、懐かしい名前だ。
25年位前、パリで買った彼女の音楽テープがとても気に入っていたから。
帰国後しばらく聴きつづけたものの、来日公演が実現せずに時が流れ、
終にはテープも伸びてしまったけれど。
今回「マリ=ポール・ベル、バルバラを歌う」とポスターに書かれてありました。
今は無きBARBARAはともかくとして、彼女の方は殆ど日本では
知られていないと思う。
という訳で、先週やっと新神戸オリエンタル劇場で、彼女のなまの歌声を
聴く事が出来、まだ感激覚めやらずです。
若い時より声に深みが増し、ピアノの弾き語りも自在で、機知に富み、
確かにバルバラを歌うに相応しい貫禄がありました。
アンコールで、彼女自身の曲が数曲だけ聴けたのだが、これが又素晴らしかった。なんとか輸入盤CDをみつけて、失われた時を埋めなければ。
因みに、今日はフランス革命記念日だ。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 26 Jun 2004 20:23:29

【梅雨の晴れ間に心の洗濯】
10日間の楓ギャラリー展が無事終了しました。
不思議な事に、殆ど雨が降ることもなく、偶の休廊日に台風6号が通り過ぎた
のも幸運でした。
とても多くの方にご覧頂きまして、この場を借りてお礼申し上げます。
楓ギャラリーは10年目だそうです。
確実に来訪者が増えているのを、実感しました。
今回初めて見てくださった方には、特に私の「色彩」について、率直な感想を
頂き、又「タイトル」に関する質問も多く、楽しい経験をしました。
つまり、人によって、又場所によって、或いは季節により「ものの見方」
「ものの見え方」が微妙に違うということでしょう。
全く独学で15年も作品を作ってまいりましたが、最近はあまり迷う事もなく、
自分のスタイルでやって行くしかないという心境です。
今年中にもう一回、本来のコラージュやレリーフによる作品をまとめた展覧会を大阪南船場で行う予定です。
次回もまたどうぞ宜しくお願い致します。
この10日間にHPへのアクセス・カウントが増えました。
掲示板に書き込んで下さった由里様も、ありがとうございます。
画廊以外は、特にアーチスト同士のリンク・コーナーを設けていませんので、
リンクにつきましては、少し考えさせて下さいませ。
皆様ありがとうございました。

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由里<@> 23 Jun 2004 03:11:53

こんにちは。楓ギャラリーでお会いしたものです。
あふれる色彩とエネルギーに感動しました。
私もがんばらなきゃ!!と思いました。
ありがとうございました。
こちらの相互リンクお願いしてもよろしいですか?

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 14 Jun 2004 10:43:14

【楓ギャラリー展のご案内】
三年ぶりに、大阪谷町にある楓ギャラリーで展覧会をします。
この三年の間に夢中になった、版画を主に展示します。
版画といっても専門家ではありません。
硬い線を得る為に銅板をわざわざ腐食して手間をかけ、その上に彩色したり
コラージュしたりして、一点モノに近づけました。
ですから、エディションは多くても10です。
今回は、それぞれのヴァージョンを数点づつ並べました。
一般的な版画の展示の仕方とはかけ離れていると思いますが、元の線(形)は同じでも、それぞれ印象(色)が違うという事が一目瞭然です。
そのほか、オブジェを少し展示します。
何とか私なりに「版画」を消化した結果ではあります。
これ以上、近づくのは危険という認識もあります。
どうしても、同じ版を作ることに抵抗を覚えるからです。
これまでの親しみのあるコラージュによる作品やオブジェと同じ空間に並べて、版画による作品に違和感がないかどうかが今回のポイントです。

タイトルは「氷点感覚」。
三年前の、楓ギャラリーも雨の季節でした。
雨の日の画廊も、しっとり濃密な気配が漂い、良いものです。
是非ご覧下さいませ。
2004・6・15(火)〜25日(金)
楓ギャラリー:06−6761−0388
大阪市中央区上本町1−4−20
地下鉄谷町線 谷町6丁目 1番出口 南東に2分
12:00〜19:00(日曜と最終日は〜17:00)
月曜は休廊

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 16 Apr 2004 21:23:24

【外国の事物とその背景】
ウエダ様。お疲れ様。素晴らしい経験をされましたね。
違う空気を感じることこそ、最大の刺激だと思います。
今日、通っている版画工房に備え付けの「世界の色彩とその組み合わせ」の本を見てなるほどと感心したところです。
色と伝統的なモチーフで、大体どの辺の国かが分かりますものね。
東南アジアも、アフリカも、南米も、アイルランドも、北欧も、それぞれ魅力的な「色と形」を持っていて、その土地の人々の一部となっているのは当然なのですから、むしろグローバル化よりは、尊敬をこめて、お互いの違いを大切にする方が今世紀には有効だと思う此の頃です。

昨年101歳で亡くなった、レニ・リーフェンシュタール(独)が撮って世界中を
驚かせた写真集「ヌバ」(73)は、美しさに溢れていました。
同時に、我国のすざましい西洋化に疑問を感じざるを得ませんでした。
アイデンティティも矜持も、失われてしまう気がして、、、。
ブッシュも、イラクを米国化するなどという、野望は捨てた方が懸命でしょう。
お互い、梅雨の時期に個展なのですね。
私の方も、準備はこれからですが、「氷点感覚」という展覧会のタイトルを決めたところです。では、ご健闘をお祈りします。

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ノブコ・ウエダ<nobuko601@yahoo.co.jp> 16 Apr 2004 09:04:11

 ロシア絵本面白そうでしたね。ちょうど11日まで、カンボジアに絵のワークショップとして、子どもたちに絵を教えに行ってきました。先生方へのワークもありハードでしたが、たのしかったです。11日まで、大阪海岸通ギャラリーCASOでもA21国際美術展というのに、リトグラフの作品を出していたのですが、いなくてみにいけませんでしたが。今週の18日まで、滋賀県の比良美術館というところへも企画展に参加していていますが、遠いので、ごあんないしませんでしたが、お知らせまでです。実は、6月に京都のGすずきさんにて個展やるのに、未だ、とりかかってないのであせっています。カンボジアのかえりに飛行機の冷房で、疲れもあったのか、体調崩して、2,3日動きが取れませんでした。やっと、やらなくてはというところです。

 日本にいたら、あまりスケッチはしないのですが、外国に行くと、いつも手作りのノートにいっぱいなんでもスケッチしたくなります。まあ、ほとんどが食べたものの記録みたいですが。でもなぜか、写真やビデオより、スケッチを見ると、そのときのことが鮮明におもいだされます。アンコールワットでスケッチしているとその時間がスケッチにはいります。周りで、いろんな人がいろんなことを言ってくれます、知ってる単語を並べて、何とか、コミュニケーションしたり、そのことが、スケッチの1本のドローイングのなかにもはいってきて、スケッチを見ると、その時間、空間がおもいだされます。

 プノンペンの博物館にそれはそれは美しい、仏陀の手の彫刻がありますが、2枚、しっかり描いたつもりが、どれも、うまくかけませんでした。どうも構造が普通の手とちがうようでした。
ロシア絵本の復刻版は欲しいですね。美術館に問い合わせてみます。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 4 Apr 2004 20:55:43

【ロシア・アバンギャルドの果実】
ロシア革命(1917)後に咲いた斬新な花といえば、作曲家ショスタコービッチ、モンタージュ映画のエイゼンシュタイン、芸術至上主義のマレービッチ、構成主義のタトリン、タイポグラフィのロドチェンコ等がすぐ思い浮かぶが、程なく抽象美術は否定されてしまったので、新しく咲いた花の命は短かった。
亡命せずにロシア国内に残り、細々制作するとすれば非政治的な分野に限られる。

例えば絵本。国立の出版社に児童文学部門があり、「森は生きている」で有名な詩人マルシャークはその長だった。
多くの才能のある芸術家が絵本製作に携わっていたらしく、生み出された絵本は皆デザインが優れていて美しく、題材も独創的だ。
その後スターリンによる粛清が始まり出版は廃止され、ペレストロイカ以後に
やっと出版されたものもあるらしい。
「幻のロシア絵本1920−30年代展」でその貴重な絵本250冊の展示を見
ることが出来る。復刻された絵本の販売もあり、これは断然お勧め。
芦屋市立美術博物館にて、4月11日(日)まで。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 22 Feb 2004 23:14:06

【具体の衰えぬ輝き】
具体美術協会(1954〜1972)の結成50周年記念回顧展が開催されている。現役で活躍している美術家も多いので、それぞれの作品を目にする機会はあるのだが、流石に一同に200点近く集められると、その熱気に気圧されてしまう。この特異な美術集団の原点を見られるのも、興味深い。

リーダーの吉原治良の、「未知の美」を提唱した先見性にも、改めて驚かされる。その18年間の活動で、あらゆる美術の方法が試されてしまったかの様だ。「具体」以後、70年代、80年代、90年代と進化し続けてきたはずの美術だが、振り返るとあれほどの大きなうねりは何処にも無かったのではないかと思う。一見元気に見えたバブル期の空騒ぎも、経済原理に何もかもが寄り添っただけの現象に過ぎなかったわけだし、美術においても豊かさが思想を育んだ形跡は無い。一時的に立派な箱(美術館など)はたくさん出来たが、この国の文化戦略の全貌が見えず、丸投げされた方も大抵はお粗末な予算に甘んじて、内部からの改革の声も小さいままだ。

そんな中で、「具体」を高く評価するのは、多分この国のアカデミズムではなく、その独創性に注目し続けた外圧(!)かもしれない。
明治以来、西洋美術を崇め過ぎてアイデンティティがぐらついてしまった画家達の百年の悩みなど、「具体」は痛烈に吹き飛ばしてくれる。
「人のマネをするな、今までに無いものをつくれ!」というメーッセージは今なお有効だ。兵庫県立美術館で3月14日(日)まで。
JR灘駅下車、南に7分。

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ノブコ・ウエダ<nobuko601@yahoo.co.jp> 1 Feb 2004 22:22:43

=パク・ヨンスク展=
 フランス映画「女はみな生きている」は最近なにかで予告を見て、是非、見たいと思っていましたが、京都で新聞見てもやっていなくて、ムムーとおもっていたら、今日から6日までやるそうで、是非、いってきます。フリーダ・カーロも展覧会は最終にみることできたのですが、映画は見過ごしてしまったので(いつか、ビデオで見れるかと)

 先週、大阪の番画廊の先にある、サードギャラリーAYAにて、韓国の作家のパク・ヨンスク展をみました。大きな写真の作品にてとても迫力ありました。そこに描かれている、韓国の女性の日常の1ショットは、まさに私の日常のワンカットでした。

 洗面所に立つあるときの自分、まとわりつく子どもと、その床には、ありとあらゆる日常のモノが散乱している、真ん中に座りつくす自分。
 韓国に暮らす女性のゲンジツは日本の私の現実でした。それらを抑圧と感じていいのかどうかはわからないのですが、ただ、日常の中で、重くときにのしかかってくることはたしかでした。その合間をぬうようにして、アートにかかわっているようです。

 尊敬する作家に富山妙子さんという方がいます。立派なHPをもっていらっしゃいますが、大学出たころお会いしたときに、女の人は20代までは、みなどんぐりの背比べで変わらないけど、50代過ぎると大きく差が出ると、それはどこで違うかというと、30代,40代の過ごし方できまると。(もう、わたしはまにあわないかもしれないけど)当時20そこそこのあたしに対するメーセージだったのかもしれませんが。今、彼女は当時と変わらないような若さと、変わらない反骨精神を持ち合わせ、常に、時代を自分の目でしっかりと分析、どんな時代だったのか、60年代、70年代、そして20世紀が何だったのか、明確に語っていらしたのが心にのこっています。

 フェミニストの視点で明確にアートにかかわることもできずにいますが、彫刻、特に物質へのかかわり方は、男性の彫刻家とは、視点がちがうようにはおもえます。その答えは日々作っていく過程、出てきた作品がかたっているかもしれませんが。
 また、機会ありましたら、いろいろお話してみたいです。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 30 Jan 2004 20:48:44

【カオスからの脱却】
コリーヌ・セロー(仏)監督の新作「CHAOS」をシネ・リーブル神戸で見た。
ヒット作「赤ちゃんに乾杯!」と同様、彼女のフェミニストとしての視点は変わらない。
今回は、売春や移民問題も交錯させ、理不尽な社会を告発している。
家でも会社でもこき使われるエレーヌの多忙ぶりは、家事をついつい全面的に引き受けてしまいがちな日本の主婦の姿と重なる。
組織から逃げ重症を負った売春婦ノエミを放っておけずに、彼女の看護をし出すとエレーヌの家庭はパニックに陥る。
何しろ夫も息子も、自分勝手な家事無能者だから、たちまち家の中はゴミの山だ。妻を家政婦扱いして正面から向き合おうとしない点では、多分日本の男達も同罪。
ノエミが育った、移民家庭のイスラム的環境はもっと苛酷だ。
父親が娘を政略的に結婚させ、一生従属を強いるのだから。
娼婦の境遇から抜け出し、何とか自立しようとするノエミに、力を貸していく内にエレーヌは自ら救われてゆくのを感じる。
深刻なテーマにも拘らず、生き生きした女達の連帯が再生の希望だ。
邦題は、「女はみな生きている」

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 29 Jan 2004 19:11:54

【ライプ・クネリス・若林】
ウエダ様。
私もライプの作品は寡黙で研ぎ澄まされているのにとても暖かいと感じます。
使うのは花粉であったりミルクであったり、そして蜜蝋に至るのは当然ですね。15年前名古屋ICAで見た、ヤニス・クネリス(ギリシア)の作品にもたっぷりとオレンジ色の蜜蝋が使われていました。
木はもちろん鉄との相性も良く大変魅力的で「蜜蝋」と言うものが、頭に衝撃と共にインプットされました。

画材や素材というよりは、もっと生命感のある、何か手におえない物として。
若林奮の黒々とした彫刻群を見たときも、言葉を失いました。
昨年見た、彼の半立体の小品を思い切って買えば良かったと後悔しています。それには一部に硫黄の塊が使われていました。
なんだか貴女と同じような体験をしているようですし、好みが似ていますね。
カッセル・ドクメンタ\に出品された舟越作品を今でも思い出します。
国境を超えて尚更、独特のオーラを放っておりました。
どちらかといえば抽象的な物に好みが傾いてはいるのですが、実は初めて
購入した立体作品が、木内克(きうち・よし)のブロンズだったりします。
その内、貴女のアート遍歴もお聞かせ下さいませ。

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ノブコ・ウエダ<nobuko601@yahoo.co.jp> 27 Jan 2004 21:29:12

《蜜蝋という響き》
 昨年は和紙に蜜蝋で描き、引っかき、植物顔料でドローイングした作品をつくりました。蜜蝋という名を知ったのはシュタイナーの蜜蝋クレヨンとか、蜜蝋粘土でした。白い蝋(パラフィン)にはない、質感存在感があります。昨年見た豊田市美術館でのWOLFGANG LAIB の蜜蝋でできた大きな作品はすごい迫力でした。まさにドイツ的!

眞理子さんのコレクションはとてもステキで、じっくり見ていて、未だ、これから、残りを見ますが、先週大阪の番画廊での若林奮版画展を偶然見まして、彫刻家のエッチングにとても惹かれました。本当にほしいとおもいました。友人と一緒でしたし、あいにく持ち合わせなかったですが、手に届かない額でもなかったので、また、家に帰って考えるということで。昨年のこれまた、豊田市美術館の若林奮展は興味深かったです。
まさか、その後、なくなられるとは・・・

舟越桂のリトグラフも魅力的です。こちらは高すぎて手にとどきませんが。彫刻家の版画というかドローイングはとてもよくわかり、やはり心惹かれます。
絵をつくると言うより、物質とその周り、空間、響き、気配、を描いているところがあって、自分の版画も彫刻のためのドローイングみたいなところがあるのですが、もっと絵画としての充実度をましたもの例えば、もっと深い色とか、大胆な、構成とか、こころみてみたいです。

お返事ありがとうございました。掲示板というのがあまりよくわかってないのですが、私信のような、好き勝手なことどんどん書き込んでもいいのでしょうか、あるいは、会話しているような、何しろ、初体験にて、新鮮、おもしろいです。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 27 Jan 2004 19:26:38

【視点を変える勇気】
ウエダ様。
書き込みありがとうございます。

貴女も多方面に食指を伸ばすタイプだとしたら、親近感を感じてしまいます。
私も時々、プロセスや画材について訊かれたりもしますが、はっきり言って
何でも使ってしまおうという考えです。
新しい素材や技法との葛藤は、馴染んだ方法の再発見でもありますから、偶には違った角度から風を感じる必要があります。
何しろ、感性などというものはすぐに擦り切れてしまいますから。
それでも、一寸したオブジェならともかく彫刻ともなれば、軽く気分転換にという訳には行きません。

「彫刻家」という響きには、人を寄せ付けない何かがあります。
でも案外、ご本人は単に次元の違いとしか捉えていないのかもしれませんね。時に視点を変えられる柔らかい頭でいたいものです。
例え遠回りでも、必ず発見があると思うので。
最近見た「蜜蝋」を型に流し込んだ作品が、しばらく心を離れません。
今年は、その蜜蝋を我が薬籠に入れてみたいです。

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寺田祐一<yteradal@palette.plala.or.jp> 27 Jan 2004 05:15:07

久しぶりの書き込みでしたが、面倒なことを書いてしまい、すいませんでした。
 眞理子さんの書き込みを読んでいたら、つい書いて見たくなったのです。「覇権ではなく、草の根から」、まさにその通りで、ますます集団化していく方向(それがどんな方向であれ)には危惧を覚えざるを得ないところです。
 しかし「草の根」は懐かしい響きのことばで、盛り上がった市民運動、無名性、self aidなどの「草の根運動」と称していましたが、思い出されます。これはアメリカも同じで、ある意味では高度経済成長時代のよき思い出でしょう(というと、そんな単純なことではなかったと怒る方もいらっしゃるでしょうが)。眞理子さんの文章に、どこか懐かしさと年配(実際には私よりも若い)、拡張高さを感じたのは、その時代の反骨精神がいきづいていたからでしょう。頑なにノンポリ姿勢をくずさなかった私にも、その気概は十分に伝わるのです。

 ブランド品がよいのは当然でしょうが、ほとんど興味を覚えない私にとっては、今も無名、ノーブランドのものが大好きです。奇をてらわず、黙々と作り続ける人のもの、まさに草の根です。たとえば朝鮮の家具、アメリカのオタクが作製したPC、手作りの自転車など興味が絶えません。そうしたものの中に、勿論無名ではないけれども、実は私にとっては眞理子さんの作品もあるのです。眞理子さんのお気に入りコレクションには敬意を表すると同時に、なるほど!と何かうれしさを感じます。リトグラフの方も、完成度が高く、抑制されたセンスのよさ、エネルギーを感じさせます。私にとっては、図形(あるいは機械)という世界を切り取り、子どものような手で組み合わせ、色づけする眞理子さんの作品は不思議な魅力です。色使いは文句なく私の好みで、よく分かる気がします。

 本当に見当はずれなのですが、ジャスパー・ジョーンズの「ストッパージュ」などを連想してしまいました。無情の中の意志のようなものです。どうも変ですが‥‥ 。
 つまらぬことに妨げられず、ゆっくりそうしたものを楽しみたいものです。しかし、そうはいかないのでしょうね‥‥ 。世を捨てるのは簡単ですが(本当に簡単です)、とどまり続けて、草の根を生きるのは勇気のいることです。

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ノブコ・ウエダ<nobuko601@yahoo.co.jp> 26 Jan 2004 21:45:10

はじめまして、ノブコ・ウエダです。
 今、G楓の庭にて、個展していて、ギャラリー内にて、版画展に参加しています。芳名録にお名前拝見しまして、ほんとうにありがとうございました。他のことで検索していて、偶然眞理子さんのHPを発見!とても充実していて感激です。わたしもこんなのつくりたいです。平面の仕事から、彫刻となって、時々エッチングしますが、先回実家の近くで、(愛知県)リトグラフの工房見つけて、そこで仕事できました。描いた調子がダイレクトに版画にできてとてもおもしろかったです。これから、すこしづつ勉強していろいろ展開してみたいです。眞理子さん(なれなれしい!)の文章も大変明解で、視点がはっきりしていてとてもすてきです。

 昨年はあれよあれよと言う間に戦争になってしまって、自分の表現がぷっつり切れてしまった感じがありました。揺れ動いた1年でした。今年はどんな年になるでしょうか。

 また、30日は楓のほうにいっています。いつかまた、お話してみたいです。
このようなのにはじめて、書き込みしました。ドキドキです。
また、よろしくおねがいいたします。     

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 25 Jan 2004 21:35:26

【覇権ではなく、草の根から】
寺田様、お久しぶりです。
米国在住の方の声を聞いてその好戦的な雰囲気が持続しているのを理解しました。愛国者たれという、有形無形の圧力もかけ方はどの国の政府も巧妙ですから。我国もあれよあれよという間に「いつか来た道」を歩き始めた様でぞっとします。「徴兵制」の足音がすぐそこで聞こえそうです。

まさに両国共、歴史の分岐点にいるのを感じますが、このままリベラルな勢力が押し切られずに踏み止まって欲しいものです。
近い将来、ブッシュ政権に連動して小泉政権が崩壊するなら、この国の国際社会に占める地位は、ますます地に落ちるでしょう。
どうしてもと言うなら、憲法を改正してから、軍隊と認められた組織を出すのが筋だと思います。

未来永劫、米帝国が覇権を振りかざせる訳はないのですから、長い物に巻かれるのではない他の道も想定して、全方位外交に切り替えるべきでしょう。
目の前の国益より、例えば50年後の人口の縮小した日本や、最強国の座から滑り落ちているだろう米国を念頭に置いて長い目で最良の道を模索すべきです。
今からあらゆる手を打っておかなければ、この国は生き残れないのではないかと危惧します。戦争に巻き込まれてから、あれが分岐点だったと気が付いても遅いのですから。何故手をこまねいて、何もしなかったのかと言われない為にも、何が出来るか考えましょう。
又、米国便りをお送り下さい。お元気で。

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寺田祐一<yteradal@palette.plala.or.jp> 25 Jan 2004 04:45:54

 9.11以来、私は憂鬱で多忙です。到底自由で民主的な国とは言えないアメリカのメディア、あのウオーターゲート事件の格好良さはどこにもありません。眞理子さんのご指摘通り、まさしく大本営発表です。あるテレビニュース局は、背景に星条旗さえなびかせている始末です。まだ日本の報道の方がましで、多分、正確な報道をしているのはアルジャジーラだけでしょう。憲法無視の自衛隊派遣に踏み切った日本も、確かに大きな大きな歴史の転換点を迎えているのでしょうが、おそらくそれ以上の大カーブを切ってしまったのがアメリカ、ブッシュ政権です。

 私は歴史家ではないので、偉そうな分析や予測はできませんが、ごく普通の人間的感覚からいって非常な恐怖を感じています。我が家のように、家族がみんな国籍などが違っていると、万が一の時はどうなるのかと、とても人ごとではないのです。ある日系人の友人が、ベトナム戦争の時、ちょうど20代で、日本に帰るかベトナムに行くかの選択を迫られた話をしてくれたことがあります。家族はアメリカですから、悩んだ末にベトナム行きを決意したのですが、幸い無事に戻ることができました。しかし今回のイラク戦争では、同じような立場の人が出征して戦死しました。実に腹立たしいとともに不安です。

 しかし、未だにアメリカ人は戦争の恐怖を感じていないばかりか、よくその意味を理解していません。クラスター爆弾や劣化ウラン弾など知りもせず、偉そうに、戦前の床屋談義のように、正義の鉄槌を下してやるべきだなどど真顔で言うのです。テロ撲滅と世界平和の言葉にごまかされ、ブッシュを支持し、反対する者を非国民呼ばわりさえしています。日系人ですら。その悲惨さと誤りに気付いているのは、残念ながら戦死した兵士の家族だけといった現状でしょう。昨年、スミソニアン博物館はエノラゲーを復元し展示しました。しかしそれは、原爆の恐ろしさや悲惨さのためではなく、アメリカを救った英雄としてであったのは驚くべきことです。

 35年前、私はことさら政治には興味がなく、全くのノンポリで安保や反戦のデモには一度も参加したことはなかったのです。友人たちにはさんざん批判されたのですが、その友人たちも今は夢から覚めています。私には、60年、70年といった幻想はなく、懐かしさも青春の思い出もありません。ただ奈良を歩き回り、ディ・スティルやダダ、カンデンスキーやグロピウス、コルビジェやライトに夢中だっただけです。まったく役立たずだったわけです。おそらくその時代には危機を感じていなかったのでしょう!

 しかし今はこんな私でも、はっきりと危機を感じざるを得ません。政治活動や過激な行動は今もできませんが、はっきりとした意思表明だけはしておかなければと考えています。ブッシュの教会的背景(バプテスト)、小泉総理の靖国参拝には正面切って反対して行かなければなりません。政教分離などではなく、その行為自体が愚劣で卑怯なのです。
 久しぶりで楽しいはずの書き込みにすいません。一応送りますが、不適当であればご消去ください。

 眞理子さんの文章はいつも気持ちがいいなーと思いますが、その後の制作、リトグラフの方はいかがですか。ご活躍を楽しみにしています。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 2 Jan 2004 15:30:16

【BOX展パートU】
喜多ギャラリーは大和郡山に移転して3年になるが、生駒での活動を含めると相当長いキャリアを誇っている。
都心の喧騒とは隔絶した静かな佇まいが、時間を忘れさせる。
才色兼備の画廊主とお話するのも密かな楽しみだと言う、フアンも多い。
彼女の眼と戦略が、これからどんな企画を生むのか楽しみである。
最近は、韓国のアート・フェアにも参加している。
「BOX展」は1996年に続き、今回は2回目で、あちこちに巡回する予定。
年末から年始にかけて数多いグループ展のなかでも、一押しの展覧会であります。

20センチ角奥行き10センチのBOXにそれぞれの作家の世界が凝縮する。
約100人の作家による、100個のBOXをどうぞ御覧下さい。
因みに私の出品作のタイトルは「EGG・PROJECT」です。

喜多ギャラリー
奈良県大和郡山市額田部南町413
TEL:0743−56−0327
会期:1月7日〜25日(月・火休廊)
11:00〜17:00
JR法隆寺駅下車、平端行きバスで龍安寺口で下車すぐ

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 8 Nov 2003 00:31:11

【ブックセラー・AMUS惜しまれる閉店】
ファンの多かったユニークな書店AMUS(大阪・西天満)が、惜しまれながら閉店した。充実した品揃えで、いつも手ぶらでは帰れなかった。
美術書が多く、時にはオーナー自らフランクフルトのブック・フェアで買い付けたものなどを手にすることが出来、感激したものだ。
出版も手がけて、クルト・ネフ(玩具)の美しい本など、次々に出版した。
ギャラリー・コーナーでは、いつも最先端のアートを展示していた。
4年前、初めてAMUSのドアを押した瞬間の驚きを、今でも思い出す。
デザインされた、キャスター付きの分厚いアルミ板の書架が、ずらりと並び壮観だった。

古いビルの地下に忽然と、超モダンな知的スポットが出現したのだった。
オリジナル雑貨も、優れたデザインが魅力的だった。
もしもリッチだったら、こんな店を持ちたいと誰もが思った事だろう。
あの特異な空間は、輝かしく皆の心に残るに違いない。
一つの奇跡として。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 24 Oct 2003 20:36:47

【永島正人君の嫌いなもの】
セルフソウ・アートギャラリーが大阪の南森町にあった数年前、永島正人のクレヨン画を見た。
整理された形ときれいな色で、どの絵も隅々まで彼の気持ちが行き届いていた。迷わず「ピアノ」という作品を買った。
ピアノの前に意味不明の四角い塊は、宇宙人にも見えたが、画廊主の説明では作家自身を表しているとの事だった。
そのコチンコチンの彼自身を見て、もしかして彼は自己嫌悪の傾向があるのかしらと、思ったりもした。

色もさらっと明るい綺麗さではなく、しっかりと塗り分けていてどちらかというと
重い。不条理を飲み込んだような濃さが、力強く迫ってくる
その永島正人の絵に二宮由紀子の文が合体して「きらい」という題の絵本が出た。発行は解放出版社から。

編集協力は、セルフソウ・アートギャラリーの村上稔氏。
小さくても、きっと目を奪われる珠玉の一冊だと思う。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 5 Jul 2003 22:44:43

【南船場の将来は明るい】
一ヶ月間に渡った、大阪の長堀橋での「都市生活工房展」は終了致しました。
通常の画廊と違い、土・日は閉じていましたし、ランチタイムは無人となり
入る事も出来ず、大変多くの方にご迷惑をおかけしました。
知らずにいたとはいえ、前もってご案内に明記せず、申し訳ありませんでした。雨模様の日も多かったにも拘らず、沢山の方に足を運んでいただきまして、心からお礼を申し上げます。
今回は真新しい空間で物珍しかったのと、南向きで光に満ちていて気持ちよく、時々展覧会場に半日詰めて、通りを歩く人を観察するのも楽しいものでした。ふらりと入ってくる方も居て、大抵ドアを押した瞬間、一様に何がしかの驚きが伝わって来ました。

まずは「こんな大きなリビングがある家に住むのも悪くないなあ」というような。
或いは「こんなに天井が高いと流石に、気持ち良いなあ」とか。
そして中には「こんな風に現代的なアートがあちこちに散らばっているのも
いいんじゃないか」とも。
又「換気扇はどこにあるの?」とか、かすかに流れる60年代のPOPSを
懐かしむ方も多く、「スピーカーのデザインがいいね」などと、今までの画廊
とは全然違う反応が、新鮮でもありました。
作り手から見ると、作品そのものを浮き立たせるには、白い壁以外の物は不要という考えの方が一般的ですが、普通の日常生活にどうやって美術作品を溶け込ませるかを考えた時、この都市生活工房のやり方や、スタッフの南船場を元気にしたいとの提案はとても有効だと思うのです。

こうでなければいけないと思いがちな頭を柔軟にしなければ、街全体のリアルな将来を思い描く事は難しいでしょう。
そして、理想がなければ何をしても未来には繋がらないと思うのです。
老舗が軒を並べていた心斎橋筋(長堀通りと南北に交差し、昔は銀座の様に活気があった処)の衰退振りを見るにつけ、その節制の無いすざまじいばかりの破壊の恐ろしさと、なし崩しのスピードに愕然とします。
全体のバランスや美的要素を欠いた方向に一歩でも向かえば、歴史の重みも何の役にも立たず、気が付けば後の祭りです。

逆に心ある人が居る限り、そして才能を集める力が働けば、街の将来は明るいしアートが息づく可能性もあると思うのです。都市生活工房の活動がこれからどのように展開するのかも、とても楽しみです。ありがとうございました。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 20 Jun 2003 22:09:19

【どこでもドア?】
本当に「どこでもドア」だったら宜しいですね。
「デスクロージャー」という米映画で、主演のマイケル・ダグラスが仮想空間に
入り込み、ライバルがあわてて削除しようとしたデータを保存するシーンを
思い出しました。疑似体験という意味なら、元々想像力さえあれば人間はいつも「どこでもドア」状態になれますから、その内ヘルメットの様なものを被って自分自身や他人の過去の記憶や無意識の深層心理へと、旅をする事が日常的になるかもしれません。でも、過去の自分と逢うなんて、不気味ですね。
「どこでもドア」だからこそ、どうでも良いことは忘れていられる人間の不確実な非客観性が救いだと思うのです。インターネットで無限のデータからなる大海を泳いでいる錯覚に陥りがちですが、提示されている情報は全て過去のものだし、歴史は全て作り変えられているとも言える訳で、他人の独断を楽しむメディアと割り切ったほうが良いでしょう。

結局は、自分が体験する現実を、自分の感性(センサー)を使い、知識や体験に基づいて瞬間的にどう処理かが問題で、膨大な情報はその場では役に立ちません。複雑な現実を捉えるために「色々なドア」が欲しいです。
ドラエモンから、話がずれてしまいました。

只今展覧会中の都市生活工房の会場風景を取り込む「ドア」を作りますね、近々。思い切って、書き込んでくださりありがとうございました。

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Minako SUZUKI<@> 11 Jun 2003 23:55:37

ご無沙汰いたしております。BBSでははじめまして。
HPをオープンされてから時々拝見していますが、なかなかこちらに書き込む勇気がありませんでした。
今回の都市生活工房での個展を知って、思わず出てきてしまいました。(^-^)
個展が始まって一週間が過ぎましたね。
どのような雰囲気なのでしょうか?

遠方なのでうかがえず、いただいたご案内やHPから想像に任せている状態です。こんなときにドラえもんがいたら良いのに・・・「どこでもドア」を出してもらったりして。また寺田さんの作品を前に、ゆっくりと時間を過ごす機会があればと思っています。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 2 Jun 2003 09:24:26

【都市生活工房ギャラリー展】
今日から、大阪の南船場で久しぶりの個展を致します。
友人が通りすがりに見つけた多目的スペースで、この3月に出来たばかりである。都市生活工房という名のギャラリー兼パーティ会場なのだが、使用申し込みが殺到しているらしいのです。

ギャラリーとしての使用は、今回が殆ど初めてですからとても新鮮です。
ゆったりとしたリビングのように、大きなテーブルと白いソファ洒落た照明器具、何よりも高い天井が魅力です。
安藤忠夫氏設計の大きなビルの1階です。
どうぞ、お気軽にお越し下さい。
今回は、『CONCENTRIC』がテーマです。
自分の色や形を、CONCENTRICに突き詰めてゆくと、こうなりました。

都市生活工房ギャラリーの詳細は、http://www.sedic-place.com
お問い合わせは、06−6262−6291 まで。
営業時間は11:00〜18:00 です。
地下鉄・心斎橋駅から徒歩5分、長堀橋駅からは2分です。
会期は7月4日(金)まで。土・日は休廊です。
お待ちしています。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 29 Apr 2003 20:27:44

【同姓同名とは!】
寺田様、この頁を何度かご覧下さってありがとうございます。
やはり、いらっしゃるのですね、同姓同名の方が。
平凡な姓名ですから当然ですが、旧漢字の眞まで同じなのは珍しいですね。
私も、同じく30年前に所帯を持ちました。

作品を発表する際に、旧姓よりも座りが良いので夫の姓の「寺田」を使う事に
致しました。ですから、一種ペンネームのような感覚もあります。
寺田様の今の一番の関心事は何でしょうか?
私は、昨日TVで米国の使ったクラスター爆弾の苛烈さ、手や足を吹き飛ばされたイラクの人々の悲惨さをとり上げた番組を見て以来、いえもっと前からもずっと憂鬱です。「これは間違った戦争だ」とはっきり言いたいです。
戦争の実態が殆ど伝えられない米国のメディアの在り方は、まるで「大本営発表」ですね。

60年前の日本の原爆被害も正確には伝わっていないのではないでしょうか。
一方で得体の知れないSARSによる犠牲者がどんどん増えて、気味が悪いです。何か、世界がすくんでしまっている様で、今世紀の先が思いやられます。でも、こんな風に他人事みたいに言っている場合ではないですよね。
紛争を解決する手段に戦力を用いないという、この国の方針は空洞化するばかりで、全体が右に振れそうな嫌な予感がします。

今日、人間環境学の専門家から「CARPE DIEM」というラテン語の意味
を教わりました。その日を摘め、意訳すると「今を最大限に生きろ」です。
とても、心に響く言葉ではありました。 では、又お寄り下さい。

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寺田眞理子<@> 29 Apr 2003 14:29:38

私も寺田眞理子です。30年前に結婚して、この名前になりました。
(「真」を使っていたのですが、5年前くらいから、戸籍通り「眞」にしました)
最近は専業ではありませんが、主婦です。
私の方が少し年上。同じ名前に引かれて、時々、覗きに来ています。
同姓同名の人を知ったのは、初めてです。
私の生活とは違う世界がここにあり、興味深いです。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 15 Mar 2003 12:30:05

【進化するプリンター】
レーザープリンターには手が届かないものの、インクジェット式プリンターの
高級機種を購入した。
早速印刷してみて、その写真と見紛うまでの緻密さと、鮮明な色に驚いた。
顔料系インクなので、特定の用紙を使えば耐用年数は75年!と説明書にある。パソコン暦はまだ5年の私だが、どんどん机の周りの景色が変わる。
少し勉強すれば、展覧会の案内状の版下くらいは出来そうだ。

10年前、パソコン自体がかなりの値段だった事を思えば、その周辺機器も
含めて、進化の速度と普及の勢いは想像を超えている。
インターネットや携帯電話の席巻ぶりもすさまじく、近未来小説や映画の中の
夢が、次々と実現している。

英国秘密諜報部員007の仮想敵国も、既に今はソ連ではなく北朝鮮らしいが、昔、奇想天外に思えたナビゲーションシステムなどは、現実のものだ。
ヒトゲノムのDNA解析が完了するや否や、クローン人間誕生の噂もある。
その内、ロボコップも現れるかもしれない。
一方で、精神の不寛容の度合いが増していくのが恐ろしい。
開戦前夜のような世界情勢だが、湾岸戦争の時と同様、政府の説明不足と、
情報操作により、ますます実態が見えにくくなっている。
原爆や枯葉剤やサリンの後遺症で、今も苦しむ人間が存在するのに、大国の思惑が優先してしまう。

目の前に提示される画像は、誰かに都合の良い虚像かもしれない。
地球市民に貢献するはずのテクノロジーの進歩は、両刃の刃である。
ブッシュ、フセイン、ビン・ラデン、金将軍など数えあがれば切の無い
狂信的な連中に、対抗する思想と手段はないものか。
素材感まで写し取る、プリンターの仕事ぶりに、底知れぬ恐ろしさを感じる
アナログな私です。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 10 Mar 2003 19:48:59

【デュラス、その愛の最終章】
人生の最終章が劇的に愛情に満ちたものであるのは、素晴らしい事である。
しかし、それが夢想でなく現実であれば、まして女の方がかなり年上ともなれ
ば、苛酷な体験でしかないかもしれない。
生身の恋人は、心がけ次第で手に入るものではないが、人生に立ち向かう姿勢で「劇的な出来事」のその後の展開が、かなり違ってくる。
まずは、愛という名の獰猛なものを、受け止める事が出来る程の強さが必要だ。相手の人生を振り回す位の勇気と、自己中心的な冷酷さも。
マルグリット・デュラスが若いヤン・アンドレアに逢ったのは、66歳の時。
突然の嵐のような感情、傷つくプライド、浸食される生活スタイル、若さへの羨
望、、、制御不可能な苛立ちは、察するに余りある。

その時すでに筆を折ってかなり経ち、過去の名声で食べていた状態であったとしても、死ぬまで映画監督であり、小説家であり続けるしかないのだから。
ヤンから見れば彼女の起伏に富んだ感情や底意地の悪さは老獪じみていただろう。デュラスが亡くなるまでの、ヤンから見た16年間が映画化された。
演じたジャンヌ・モローの迫真の演技は、デュラスを彷彿とさせた。
デュラスとその若い恋人との、濃密な息詰まるような16年。

詩のような言葉の断片は「インディアソング」等の珠玉の映像作品を思い出させ、憧れ続ける海は、成功した小説「ラマン」のなかのエキゾチズムに通じる。通底する絶望と不条理に、孤独が透けて見える。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 5 Jan 2003 19:33:24

【謹賀新年】
今年も素晴らしい年賀状を沢山頂いてしまいました。
特に版画家の方達は、作品と同じ様に手間隙かけた刷りなので恐縮する程です。

昔ながらの木版画も手仕事の温かさが伝わり、何故かとても新鮮。
グラフィックデザイナーの方のは、流石に切れ味良く感心することしきりです。
ウールマークがミシンで縫いこまれた物は、アイデアのユニークさに脱帽です。モノタイプの手描きの物は、あまりの貴重さに永久保存するしかありません。イラストの色の良さは、プリンターの進歩の成果でしょう。
では、私はこれからボチボチ、賀状書きに取り掛かることに致します。
皆様、今年もどうぞ宜しくお願い致します。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 23 Dec 2002 20:38:08

【今年のベストワン】
今年も色々な作品をみたはずだが、走馬灯のようには効率よく思い出せない。感動そのものが希薄だったのか、記憶する力が落ちたのか、記憶の引き出しが整理されていないのか。
その中で新鮮に思えたのは、ピコ(pico@madomado.com)のマッチ・プロジェクトに参加したこと。
高くは無い参加費とマッチ箱を一つ送ったら、翌月にそのマッチ箱が一部にはめ込まれた、葉書大の分厚いコラージュ作品が送られて来たのである。
身近にある物を拾い出し、面白がり、その行為に形や名前を付け、参加者を募り、記録するという、どう考えても手間のかかる面倒な企画である。
このような企画を考え実行するアーチストが居るとは、新鮮な驚きだった。
惜しみなく割かれた時間は貴重だ。
或いはその開かれた精神も、若者らしく好ましい。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 2 Nov 2002 14:36:35

【森口宏一WORKS・1993〜2002】
海岸通ギャラリー(地下鉄中央線大阪港駅下車)で、彫刻家森口宏一展を見た。相変わらずクールな作品群が設置され、実験室に飛び込んだように気持ちが引き締まる。

鉄の作品「水田/PADDY FIELD」には廃油が注がれていて、水を張っ
た他の作品とは又趣が違い、何度見てもヒタヒタと迫るものがある。
平面の額装作品「自画像」は、作家本人の戸籍謄本(!)やパスポートからの転写と横顔の組み合わせという構成で、意表をついていた。

その指名手配の写真の様な印象は、目の部分に棒線があるからだが、S.ゲンズブールのLPジャケット「YOU’RE UNDER ARREST」を思い出
す。ともあれ、宇宙人のような彫刻家は、れっきとした地球人だと分かり楽しい気分になる。
無国籍的な倉庫界隈も綺麗に整備されて、雨上がりの風景はくっきりしていた。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 3 Oct 2002 19:50:06

【シアトルの空の色】
寺田祐一様、シアトルからお便り(書き込み)ありがとうございます。
お会いしたことが無いのに懐かしく、見知らぬシアトルの空の色や風の匂いまで感じてしまいます。

在らぬ事を空想するのが私の性癖であり、唯一の長所でもありますので、調子の良さはお許し下さい。それにしても、私のPC集「CIRCLES」が太平洋を
渡り、貴方のお供をしたとは!嬉しいこと。吉田氏の詩も評判が良く、私としては下手な自作の解説にせず良い選択だったと思っています。
実は自作の詩と感違いされて、詩を褒められる事も多く、ちょっと複雑な気分ですがそれも嬉しい事です。
宮沢賢治でもなく、石川啄木でもなく、中原中也でもない、吉田光夫なのです。朴訥というより繊細、破滅には縁遠く、過剰なリリシズムとも距離を置き、という風で何というか大げさでない分、ストレートに心に沁みます。
多少無機的な所も良いのです。

貴方のお好きなカンデンスキーや私の好きなクレーの絵も、知的なのは良いとしても人によっては観念的過ぎると感じる人もいるでしょう。
絵や詩で、自分の好みとぴったりのものを発見するのは案外難しいものかもしれません。でも突き詰めて、どんなものが好きかと考えなくても、日々あれかこれかと選択を迫られながらやり過ごす内に、いつか予期せぬ感動が待っていると考えると、人生も楽しくなるというものです。
こちらも、秋風が吹き、日が短くなりました。お元気で。

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渡邉 裕美<@> 2 Oct 2002 17:34:24

レスありがとうございました。
「犬の中の犬」展、是非お伺いします。
版画は、銅版画を是非やりたいと思っていますが
なかなか実行には至りません。
また、早々にサイトご訪問頂きましてありがとうございました。
展覧会は、「宝塚市展」に、入選しましたので
JRもしくは阪急宝塚駅の南、ソリオにあるソリオホールにて
10月3日〜8日まで展示されます。お暇があればぜひいらしてください。
(問合せ先 0797-85-8844)

入選作とは別に、女性のアップの絵も出したのですが、
こちらを私は、より気に入ってたのに落選しました。
友人には「美人画」と言われる、ホームページ表紙の絵と似た傾向のものですがこの手のはもう公募に出品しても無駄なのかしらん、と思ってしまいました。機会があればご批評願いたいです。

また、西天満老松通り奥の「シティギャラリー」のグループ展にも
10月7日〜12日出品致します。
案内状を差上げたいのですがまだ手元に届いておりません・・・すみません。
お暇があればぜひこちらにも!またお話できたらと望みます。

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寺田祐一<yteradal@palette.plala.or.jp> 2 Oct 2002 01:29:35

「吉田さんの詩のこと」
 遅れて来た子供のように気まずいのですが、照れ笑いをしながらの登場と言ったところです。お元気でしたでしょうか?しばらく仕事が忙しかったり体調を崩したりで、すっかり無沙汰してしまいました。今はseattleです。メープルの葉はすっかり色づき、空の青さは悲しみを増し、アメリカンシダーの常緑はますます深くなりました。冬が近いのです(詩的でしょうか?)。

 書き込みは少ないようですが、充実した内容、日々となっているようですね。相変わらず真理子さんの文章は魅力的で、ますます秘めた情熱を感じさせます。見ると(読むというより)、勇気がわいてくるような気がします。

 近頃は小さな字を読むことがおっくうで、せっかくの真理子さんのポストカード(サークル)の中の詩も最後まで読まず、大変失礼してしまいました。なるほど、素敵な詩だと思ったのも無理はなく、吉田さんの詩だったのですね。詩人に感性の鋭さは不可欠なもので、しかもそれは未分化な世界、光と陰、現実と非現実、幼さと悟りの間を揺れ動くものでしょう。吉田さんの詩には、風の又三郎のような神秘さとボードレールのような毒があるようです。真理子さんの作品とは異質なものですが、不思議な世界を醸し出していることは確かです。コラボレーションの魅力でしょうか。軽い表現のように聞こえるかも知れませんが、私の第一印象は「素敵」なものでした。吉田さんの作品はもっと拝見したいものです。

 カンデンスキーの作品の中に、30号ぐらいでしょうか(もっと大きかったかな)、12個のサークルを無造作に絵の具で書き殴った作品があるのですが、妙に印象的で、プレーンな空間のインテリアによく似合っていました(もっともカンデンスキーの作品はだいたいそんな印象でしょうが)。 私の手元にある真理子さんの作品はサークルだけなので、どうしてもそこにこだわってしまうのですが、きっともうそのサークルからは飛び出しておられるのでしょうね。

 申し訳ありませんが、また少し、門外漢の見当はずれを時々書かせていただきます。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 1 Oct 2002 19:56:27

【犬の中の犬展】
裕美さま、この掲示板への書き込みありがとうございました。
ここは、書き込み自由なのに、誰も立ち寄らないのでいつも寂しい掲示板です。きっと、私の文章が硬いせいでしょう。
実は、名刺を頂いた日に、私も貴女のHPを拝見しました。
ロマンチックな文学的な印象でした。

私は、今版画に夢中で、つい市川氏にも、あの日、ドライポイントの事を色々質問してしまいました。もしかしたら、貴女の作風にも、合うかも知れません。
ソフトグランドという方法だと鉛筆のようなやわらかい線を出すのも可能です。
もう既に版画をされているでしょうか。近々展覧会をされる予定は?
確か本の出版のご計画もあるとか、、、私もいつかはと夢見ています。
印刷の質に眼をつぶれば、既に簡単にDTPが出来る環境ではありますが。
ところで、四条畷のROSSOという画廊をご存知ですか?

画廊を切り盛りしているのが、博識で文学好みの小倉三和子さんです。
画廊14’MOONの伊部氏の友人でもあります。
彼女の次回の企画「犬の中の犬展」のご案内をさせていただきます。
もし、ご覧下さる機会でもありましたら、是非彼女とお話してください。
今回「犬の中の犬」を求めて取材し、何とか4点新作を作りました。
「人の中の人」とは何ぞやと考えながら。
私の他の出品者は、仲田イサ代・よしだゆか・成松泉・中村ちとせ・福家華
・岸田真理子・塔本賢一・宮下興一郎の8名です。

犬の中の犬展:10月5日(土曜日)〜20日(日曜日)
ガレリヤROSSO(ロッソ):TEL:072−879−3585
JR学研都市線四条畷駅(京橋から快速で13分)下車、北東に徒歩5分。
午前11時〜午後6時まで。月曜休廊です。

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渡邉 裕美<alius_yuriko@hotmail.com> 30 Sep 2002 22:01:44

こんばんは、先日は市川先生の個展でお世話になりました、渡邉です。
寺田さんのHomePageお邪魔します。
裏表紙やサプライズがあって、とても凝った作りのサイトですね!
作品もとても知的で、寺田さんご自身も深いお方だと思いました。
展覧会、常設ギャラリーの数も半端じゃないですね。
私も寺田さんのようになれるよう頑張ります?!
またどこかでお会いできますように。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 12 Sep 2002 20:58:17

【市川洋の明快な無限】
市川洋の作品世界は、明快な法則で成り立っている。
真四角を9個の正方形に分割し、2色或いは3色で幾何学模様を描き、配列を組み替える。そこまでは私もよくやる方法だが、彼は裏面まで同様に全く別のイメージを完全に成立させているのが、ユニークだ。

その配列の変化は天文学的になるが、同一作品を何通りにも変化させるという誰もやらない無限の楽しみを見つけ出した本人は研究に余念がない。
図録にも、裏面バージョンがちゃんと載っている。
1966年に渡仏、現在もパリ在住。73歳。
5年ごとに帰国し、全国6箇所を展覧会が巡回する。
大きい会場では、上記のアクリル抽象画の他に、ドライ・ポイントの版画や
スケッチなども展示される。

大阪現美センターで直接本人にお目にかかる機会があり、少しお話した。
日本画出身とは思えぬほどクリアな色彩は、どこから来るのかと質問したら、
パリの乾いた空気のせいでしょうと即座に答えが返って来た。
情緒を排除した色彩に似て、博愛と孤独が表裏一体となった人柄にも何かしら一定の法則を好むマニアックぶりが滲んでいた。

残りの巡回は、福山と広島で、以下の通りです。
ふくやま美術館(TEL:0849−32−2345)9月18日〜23日。
府中文化センター(TEL:0847−45−6000)10月1日〜6日。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 4 Sep 2002 15:37:31

【兵庫県立近代美術館の開館記念展】
神戸の王子公園近くにあった近代美術館が、灘の海岸に移転した。
安藤忠雄氏の設計による、別名「芸術の館」である。
海に面した城砦のように、黒々とした威容を誇っている。
中央入り口奥の海側にある大きな螺旋階段が、各展示室を繋いであるので少し分かりにくいが、前評判のように迷路という感じではなく、ふんだんに使われた石や鉛色の鉄板等の魅力が圧倒的で、心地よい。

一見意味のないように思われる長い回廊や、高い天井、複雑さを醸し出す螺旋階段などは、それだけで非日常的で美しい異空間だ。
同じように海に面した、同じ建築家による天保山のサントリー美術館より個性
的で意思的だ。但しMUSEUM・SHOPがまるで土産物屋の様で興覚めなのは残念だ。先日、「POWER・OF・ART/美術の力・時代を拓く7作家」を見た日、暑さのせいか迷って反発を感じたらしい観客が、癇癪を起こしていたのが気の毒だった。

美術館内のレストランが満席というのも、珍しい光景だった。7人の現代美術作家の中では、青木野枝の重量感を感じさせない鉄の彫刻群や、鉛の被膜で覆われた蓮が林立する空間を作った河口龍夫のインスタレーションは、美術館の雰囲気とマッチしていた。
そして白昼夢のように魂を揺さぶり続けるのは、蔡國強(中国)の金色の小さな船が一列に漂う光景だ。
どんな作品が表出されるか予想がつかないタイプのアーチストは、それだけで、内なる力を感じさせる。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 25 Jul 2002 21:41:04

【堀尾流のアート全開】
特に現代美術を扱う画廊に限定されるが、画廊巡りをしていて会う頻度が
一番高いアーチストは、多分誰にとっても堀尾貞治氏だろう。
それ程、彼のフットワークは超人的である。
展覧会やイベントが、なんと年間100回を数えるらしい。
何かを見ながら、集めながら、拾いながら、壊しながら、色を付けながら、
何でも面白がって、堀尾アートに変えてしまうのである。

場所も画材もアートの枠も軽々と超えていく姿は、見ていて気持ちが良い。
つまり日々生きてること自体がアートで、氏には「あたりまえのこと」なのだ。
途切れなく生まれる作品を、追いかけて記録し写真を撮る人も楽しそう。
堀尾氏の周りには、どんどん人が集まる。
パフォーマンスの為のボランティアには、事欠かない。
決して偉そうにしないので、何でも言い易い。
彼に励まされた「駆け出し」は数え切れないだろう。
私もその一人ではあります。その昔初めて頂いた葉書には「押しても駄目なら引いてみな」と書かれていた。今、芦屋市立美術博物館で「堀尾貞治展・あたりまえのこと」が開催中です。

9月1日まで。TEL:0797−38−5432
毎日14:00からパフォーマンスがある。必見です。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 20 Jun 2002 21:46:10

【踊る詩人・森出(いづる)様】
足音も無くすっと舞い降りる大きな鳥のような気配で貴方だと分かります。
先日は、茨木の展覧会場まで足をお運び下さりありがとうございました。
帰り際必ず、放り出された作品群を一瞥して「今回は△が一番良かった」と
言い残されるので、一瞬その△が別の衣を着せられた感じがするのです。
私自身の採点といつもズレがあるのも面白く、それで貴方の詩も客観的に読めるというものです。最新作の「身体」がテーマの詩を拝読致しました。

読んでいて、自分が貴方ほど、身体的人間ではないのがよく分かります。
体が与えられているので生きられるという自明を忘れがちな人間の一人です。健康な内は健康を意識しないのに似ています。
例えば言葉で、身体にまつわる事象について自分が他人とこんな風に違うと強調する事に無意識の抑制が働くのは、精神が第一義で身体は二義的なものと捕らえていたからかもしれません。言葉が永遠に残ることへの恐怖もありますが。

最近身体能力が著しく劣ってきて、にわかに身体的な要素が、自分の中で大きく膨らんできたのを感じます。
身体も精神同様、不努力の結果であり、本質が端的に顕れてしまうのだと。
今回特権を行使して「身体性」をテーマに展覧会場の来訪者を観察致しました。純粋で贅肉がない堀尾貞治氏は、やはり特別のオーラを感じさせる方でした。岸田真理子氏の寡黙で硬質な雰囲気にも惹かれるものがありました。
他にも、私自身よりも私の作品を深く分析してしまう大切な友人の事を語れば
キリがありません。

記憶はすぐに薄れてしまうのでこうやって書き留めて言葉で整理されると何事も輪郭が出て来るようです。やはり人間を存在せしめるのは言葉なのでしょう。3日間の展示を終えて振り返ると、雨季の蒸し暑さや、突発的なサッカー熱とあいまって画廊・橋本工務点の有機的な居心地良さや、若い建築家達の活気など大変印象深い展覧会となりました。

悪条件にも拘わらず遠方までお越し下さいました多くの方にお礼申し上げます。ありがとうございました。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 10 Jun 2002 01:13:31

【続・橋本工務点】
SAVVYという情報誌7月号に、山下里加氏が今回の「3日間だけの展覧会」についての文を載せてくれました。
それによると、今回の会場の画廊・橋本工務点は、明治時代に建てられた京都の女学校を移築したもので、長らく小学校として使われていた建物だそうです。
そんな歴史的な建物だとは知らずに、展示の仕方を思案していましたが、いっそ意味有り気なインスタレーションはやめて、さり気なく在るべくしてあるように空間に同化させるのが良いかもしれません。
もうすぐ西宮市立大谷美術館で「藤本由紀夫の美術館の遠足」が開催されます。年に1日のみというユニークさで、行かなければという強迫観念に囚われてしまいそうな展覧会の方法です。

どこからともなく聞こえるオルゴールの音。枯葉の山や、バニラの香り、そして
3Dの装置など、美術の常識を覆す藤本式展示に魅了される方も多いでしょう。美術館のあらゆる場所を、美術化する仕掛けは、観客を探検に誘い込む試みでもあります。話が脱線しましたが、私も「壁に額装の絵がぶら下がる」だけの展示にはしたくありません。折角魅力的な場所と出会えたのですから。
是非ご覧下さい。

画廊・橋本工務点はJR京都線茨木駅下車10分。
お問い合わせは、0726−23−6767まで。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 5 Jun 2002 00:58:57

【橋本工務店ではなく、橋本工務点です】
画廊・橋本工務点のオーナーは、建築家の橋本健二さんです。
美術に造詣が深く、美術家のアトリエの注文が多い建築家です。
木造2階建ての建築事務所の中に、画廊スペースがあるのです。
廃材の柱と、白いペンキの床、長いテーブルがあるだけのポカンと大きな空間。ひと目見ただけで気に入りました。

今年こそは充電しなければならないので、個展の予定を取らなかったのですが、年に1回又は2回しか、企画をしないとのことで、内心あせりました。
しかも3日間だけなのです。
という訳で、3日間の展覧会をこの6月の中旬に行うことに致しました。

6月14日(金)・15日(土)・16日(日)の午後1時〜午後8時まで。
最寄の駅は、JR又は阪急の茨木駅です。
地図等詳しくは、このHPの「スケジュール」でお確かめくださいませ。

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二道 貴夫(にどうたかお)<karahori@circus.ocn.ne.jp> 2 Jun 2002 09:51:40

寺田 真理子様
個展のご案内いただき有難うございました。仕事で、行く事が出来ませんがお葉書、店内に掲示し、お客様にご案内しておきます。
展覧会のご成功 心よりお祈り申し上げます。
からほり亭  にどう たかお

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 8 May 2002 20:55:12

【加藤裕三を偲んで】
昨年の今頃、5月5日の子供の日に50歳という若さで昇天した玩具デザイナーの加藤裕三氏をご存じの方も多いと思う。
法然院(京都)での偲ぶ会に集まった多方面の顔ぶれを見て、今更ながら彼の多岐に渡る活躍の全体像が浮かび上がった様に思う。
芦屋市(兵庫県)にあったアトリエをお訪ねしたのは、10年位前だったが、
大人の心もくすぐる楽しい玩具の木の模型に溢れた素晴らしい工房だった。
私が何処かで見つけてオブジェとして家にいつも飾っていた、木の「おにぎり」
は偶然彼の作品だった。

私も、子供の頃からガラクタを集める癖が改まらずに、その「子供のしっぽ」を原動力に美術の仕事をしている様なところが多分にあったので、彼とは気楽に話が出来た。
いつまでも子供の世界に浸ってばかりはいられないと分っていても、
現実の世界の猥雑さや苛酷さ、軽薄さに、ともすれば逃げ腰の私と違って、
加藤氏は自分の夢の実現に向かって、どんどん周囲を巻き込んで行き、又それを楽しめるエネルギッシュな人でした。

「どたばたやっているのが、人間じゃないの?」と。
今は法然院に眠る加藤さん、貴方の夢だった「玩具博物館」が2003年には
神戸の有馬に実現するそうです。良かったですね。
8年前の大震災の時、アトリエを失い窮地にいた貴方の近くに居ながら、何の力にもなれず今も悔やんでいる私です。せめてこの詩を捧げます。


・時は駆ける 記憶の彼方に
 ヒューマニストの律儀も
 コメディアンの内省も
 パラノイアの矜持も
 全てを置き去りににして

・時よ眠れ 回復の時まで
 大地の怒り
 森の悲しみ
 海の叫び
 全てを抱えたまま

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 20 Mar 2002 11:47:31

【山崎ランの面白世界】
昨年亡くなった山崎ランの遺作展が、伊丹市立工芸センターで始まった。
40年に渡る活動の中から、主に絵と人形をコンパクトにまとめた面白い展示になりました。遺作展実行委員会のメンバーの熱心さには、心打たれるものがあり、私もチラシのデザイン等でお手伝いできて、貴重な体験となりました。
彼女の作った人形(ソフトな彫刻)は、人形というにはあまりにも深みがあり
表情豊かで、彫刻的な重みを吹き飛ばすユーモアに溢れています。

色の好みもはっきりしていて、人形たちのまとっている布切れが、生前彼女自身が身に付けていた物を彷彿とさせます。
観客が「ワー、面白い」と言う声が、天国のランさんにもきっと届いたでしょう。
時々、伊丹の稲野に在った、白とピンクに塗られたアトリエをお訪ねしました。
70代とは思えぬ気の若さで、「古い考え」を容赦なく批判する態度は一貫した
ところがありました。

前衛的な美術運動に決して無関心ではなかったはずでしたが、結果的にはどこにも所属せず孤高を守ったランさん。
折に触れ、思い出す事の多いランさんです。

山崎ラン遺作展は3月31日(日)まで。
伊丹市立工芸センター(0727−72−5557)は月曜休館。入場無料。
JR(東西線)伊丹駅、又は阪急(伊丹線)伊丹駅下車、徒歩9分です。

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 6 Feb 2002 22:00:38

【吉田光夫氏の詩の青さ】
寺田様。ポストカード集をお買い上げ下さったのですね。ありがとうございます。あれは28枚綴りですから、28枚の原画を主にコラージュという方法で作りました。「Circles」の題名どおり、モチーフは丸(円)です。
出版社から何か解説を短いテキストで欲しいと言われたのですが、私は自分の作品を説明したくない気持ちが強くありましたので、かねてからその詩に憧れていた吉田さんという詩人に「短詩」を28編依頼しました。

「廻る」イメージがあれば、特に作品に寄り添う必要は全然無く、例えば生まれてから死ぬまで、或いは春から冬、又は世界一周、何でも構わないからと。
結局、早朝から夕暮れ時というサイクルになった様です。
作品の題とも、付かず離れずで、私の狙いは成功したと思いますが如何でしょうか。

彼の詩の何処に惹かれるかといえば、何と言ってもその硬質な透明感です。
私がまだ棄てずにいる「少年時代」(実際は少女でしたが)に引き戻される気がするのです。未分化の精神とでもいうべき根源的な「青さ」に出会うのです。
お蔭様で私が集めた丸いモノ達(月や風船や涙)は、「詩をコラージュ」した途端にぐっと深みを増す結果となりました。
楓ギャラリーの方は残念でしたが、あちこち捜し歩いて下さり心から感謝致します。

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寺田祐一<yteradal@palette.plala.or.jp> 5 Feb 2002 19:11:27

真理子さんのお気に入りAMUSは、私の想像とはまったく違った本屋でした。といっても初めての体験と言うわけでもありません。まだこういう世界が残っていたのかという、3〜40年ほどタイムスリップしたかのような驚きでした。もう一つお訪ねした谷町6丁目の楓ギャラリーにいたっては、門外漢の私には、それこそ、到底門すらたたく勇気など出ないほどの優雅さでした。店主の三島さんに、まだ今年はやっておりませんと告げられるや否や、お話をさせていただくどころか、脱兎のごとく逃げ出すのが精一杯でした。丁度、常連以外お断り、といった不文律の会員制の札が掲げられているように、です。しかし、久しぶりに見知らぬ世界を覗かせていただいて、とても新鮮な緊張感を味わわせていただきありがとうございます。これもまた、真理子さんの常設展示の作品を見たいが為の一心によることでした。

 AMUSで、真理子さんの作品を集めたpostcard、Circleをいくつか買い求めることができたことは幸いでした。postcardですから、勿論印刷で、オリジナルではありませんが、画面で拝見させていただくのとは、比べものにならないほどのぬくもりと肌合いを感じさせるものです。直接手で触れらるのですから。なんとなく、はじめてご本人に直接お会いしたような不思議な感じがいたしました。オリジナルをこの目で見、手で触れたらどんな感じなのだろうと、アール・ヌーボーやアール・デコに一時期夢中になっていた頃のことを懐かしく思い出したのです。今はもうまったく違う分野の仕事なのですが、静かな興味がもう一度沸々とわき上がって来るようです。

 postcard、実際に使うのはもったいないのですが、postcardですから、やはりその目的に従って使用してはじめてその真価が問われるでしょう。骨董のように、ね!
 おそらく、私の友人たちも相当うるさい連中なので(建築デザイン事務所をやっている連中が多い。この不況で苦しんでいますが‥‥ )、きっと何かを言ってくるでしょう。何しろ名前も同じだし。

 作品については、何かを言う資格はないのですが、個人的には「GATE」と「DUET」が好きです(ほかも勿論いいです)。日本流には「讃」というのでしょうか、日本語と英語で書かれた詞書きがとてもすてきですね!勿論見当違いですが、私には何となく中原中也が感じられました。現実と超現実とが、洗練されて、微妙なバランスをとって作品になっているのが魅力です。逆に言えば、少し洗練されすぎているかも(ゴメンナサイ)。 

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寺田眞理子<atelier-m@po1.dti2.ne.jp> 29 Jan 2002 22:00:40

【上前智祐に潜む熱】
上前智祐の「縫い」による作品の魅力を教えてくれたのは、今は亡き或る染色家だった。彼女が京都で「無有」という画廊を始めたばかりの頃、「何故、制作の道を棄ててまで、画廊という難しい世界に踏み込んだのか」と訊いてみた。上前智祐の他に数名の名を上げて、彼らを世界に知らしめたいと、彼女は熱っぽく答えた。その後惜しくも仕事半ばの50代で逝ってしまったせいか、彼らの作品を前にする時、彼女の熱意が思い出されて平静でいられない。

今、大阪の南船場のLADSギャラリーで「上前智祐展」が開催されている。
先日その画廊で「作家のお話」を聞く機会があった。
対談の相手が上前氏の年来の支持者(神戸で画廊経営)であるので、前記の友人を重ねながら、「制作者とサポートする人の対談」を聞くことにした。
今回の展覧会は「縫い」の仕事ではなく、最近没頭しているらしい「シルクスクリーン」による版画が殆どなので、是非そこのところを詳しく聞きたいと思ったが、過去に氏が所属していた「具体美術協会」の内輪話に終始してしまい残念。関西では名高い伝説的存在の「具体」だが、所属していたそれぞれの作家によってその実体の捕らえ方も各様だ。ともあれ、氏の細部の記憶の克明さには驚くばかり。

「自由に絵が描きたい」と一途に思いつめ、60有余年も努力し続け、ついに近年高い評価を得られた人に「潜む熱」は熱いままだ。
「上前智祐展」は1月31日まで。
LADSギャラリー:06−6281−0317

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